時は金なり

若手俳優追っかけ女の備忘録です。文章はほぼ勢い。

錆びつきジャックは死ぬほど死にたい

日程/10/28~11/3
劇場/CBGKシブゲキ

作・演出家/吹原幸太

音楽/西山宏幸(ブルドッキングヘッドロック
音響/山下菜美子(mintAvenue inc.)
衣装/サイトウマサミ・増田赤カブト
照明/萩原賢一郎(アルティプラノ)
映像制作・予告編監督/吉田ハレラマ
振付/下山直美
殺陣指導/森貞文則
舞台美術/中村友美
舞台監督/山田剛史
宣伝美術/黒田武志・サイショモンドダスト
協力/西田シャトナー
プロデューサー/登紀子(アイビス・プラネット)・西田知佳(ぴあ株式会社)

出演/
久保田秀敏、愛加あゆ、加藤慎吾、小岩崎小恵
サイショモンドダスト★、CR岡本物語、増田赤カブト、野口オリジナル、
吉田翔吾、NPO法人渡辺裕太、横尾下下、井上ほたてひも、高橋ゆき、吹原幸太
美津乃あわ、今井孝祐、安倍康律、塩崎こうせい、土屋兼久、清水ひめ乃

水石亜飛夢
萩野崇(特別出演)

大石敦士、海雲千帆、木村圭介、田口真太朗、ハマサキカズユキ、
原田将司、日向翔梧、諸星利紀


あらすじ/
私はジャック。本名は忘れた。かすかに残る記憶によれば、かつて私は人間だったらしい。いつ生まれたのか、そしてどんな理由で改造されたのか…最早すべてが曖昧だが。
昨日、友達の吸血鬼が銀の杭で心臓を突かれて死んだ。何て羨ましいことだ。私の体も、銀の杭が刺さるくらい柔らかければ良かったのに…。そうだ。私は死にたくてたまらないのだ。
悠久の時の中で、私は様々な人間の愛を知り、哀しみをとらえ、絶望を眺めてきた。あと何年生きるのだろう。不意に浮かぶ、あの子の泣き顔は何を伝えたいのだろう。
…私はジャック。永遠の意味を知る、ただひとりの人間である。(公式サイトより)



遅くなったので今更ではあるのですが、DVDをご覧になる方もいらっしゃるでしょうからあんまりネタバレしない方向で。あんまり(しないとは言ってない)

私の観た公演は10/28の初日、11/2の夜、11/3の千秋楽でした。先に言うと、今年観た舞台で一番良かったです(あまり比較するものではないですが)。

ポップンマッシュルームチキン野郎さんについての予備知識がほとんどなかったので失礼な話、面白いんだろうか……と猜疑的な心持ちで劇場に向かったのを憶えています。
しかし本当に面白かった!最初休憩なしの140分と聞いて胃が痛くなるくらい(膀胱の)心配をしていたのですがそんな心配なんて始まったらすぐに吹き飛びました。寧ろもっとやってくれ!と思ったほどです。


特にこれについては賛否両論ありそうなのですが、あの場面転換が良かったと思います。舞台上で行き来する場面は全部で5つでしたが切り替わる時間やタイミングがちょうど良く、前にその場面で何が起こっていたかをすんなりと思い出せ、その上観客が物語に飽きない。「気づいたことへの気持ちよさ」みたいなものが終盤ドカンと落ちてきたのも、話が小出しだったことによる効果が大きかったのではと(勝手に)思います。

2回目を観たとき終始鳥肌が立っていたのを覚えています。「点と点を線で繋ぐゲームの答え合わせで先生が答案に全て丸をつけて行くところを傍で見ている爽快さ」が一番しっくり来るんですが、あんまり伝わる気がしません。


あと笑いどころがすっきりしていたのがとても良かったです。脚本や役者の「ここおもろいやろ?」というドヤ顔が透けて見えるほどの間がない。観客の笑いが引いたらあっさりと次のシーンへ移る。これは人によりけりだと思うんですが、笑いに余韻はいらない党の人間なのでとても見やすかったです。

1つだけ腑に落ちなかったというか疑問だった点が幸雄の姉でした。ジャックが見守っている対象との関わり方がケイト・幸雄と姉で随分差があるなあと。
ケイトに対しては彼女の結婚に対して踏み込み、幸雄のことは二度助けている。一方姉は売春の果てに事故死。
「衝動に従っているだけ」とジャックは言っていましたが記憶を失くす前からそうだったんでしょうか。というかその衝動を1mmでもお姉さんに向けてやってたら……って考えるのは野暮なんですが。向けてたけど間に合わなかった、みたいなことかもしれないし。


出演者の方々が本当に皆さん素晴らしく、舞台上に存在する方全員に目を惹かれるのにその場面場面の主役がはっきりと判る。どこかで吹原さんが「全員が主役のつもり」と仰っていたような気がするのですが(曖昧)そういうことなのだろうなと思います。本当に皆さんのブロマイド買いたかった……千秋楽の日所持金2円じゃなければ……。

ケイトとティーローが駆け落ちする場面、確か初日はただ走っていただけかと思うんですがティーローが前髪を執拗に直したり恐らく色めき立つ街の女の子を笑顔であしらったりしていて、人気者のナルシストというティーローのキャラクターが強く出ていたなあと。

愛加さんにも赤カブトさんにも、一曲丸々歌って欲しかった……笑 あのアレンジとても好きです。